白状しよう。スケジュール管理というものが苦手だ。
締切までどれだけ日数があっても「余裕、余裕」と他の作業に手をつけたりしているうち、気がつけば締切はもう目前。泣きながら睡眠を削って徹夜作業を続け、なんとか無事に納品してホッとする。これじゃカラダに良いわけないよ。わかっちゃいるけどやめられない……
『脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか』(クラウディア・ハモンド著. インターシフト. 2014)は、脳が「時間」というものをどう捉えているかについての面白い読み物だが、この中にスケジュール管理を成功させるヒントが記されていた。
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「誰か他の人のプロジェクトは、完成までにどのくらい時間がかかるかを、思いがけないほど正確に予測できる。 <略> しかしこの能力も、自分のこととなると鳴りを潜めてしまう。作業にかかる時間を過小評価するこの傾向は、"計画錯誤"と呼ばれる」(p.225)
「少し先の将来でも、来週と同じ程度にしか自由時間はないということを頭に留めておかなくてはならない。ここまでして初めて、現実的な締切を設定できる。何より難しいのは、将来は今よりもっと多くの自由な時間があるという、楽観的な考えにさからうことだ」(p.257)
「そして最後の確認として、友人に仕事の内容を説明し、あなたがそれをどのくらいの時間で完成させられるか、推定してもらう。自分の時間については他人のほうが正確に判断できることが研究によって示されている」(p.257)
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確かに、ずっと先の、たとえば半年先に締切の仕事なんかを依頼されると「まあ、半年もあれば大丈夫だよね……」と楽観してしまいがちだ。
しかし実際には半年間、他のいつもの仕事だって続いてるわけで。さらに、その半年の間には新しい仕事も、どんどん入ってくるわけで。
締切までどんなに時間があっても、「作業にかけられる時間」それ自体が増えるわけではない。この認識は大事。だけどつい、まだまだ時間はあると錯覚してしまう。
そして本書によれば、多くの人にとって「自分」の仕事量や所要時間を見積もるのは困難だが、「他人」のそれなら現実的に見積もることができるとのこと。
なるほど、スケジュール管理を秘書やマネージャーといった「他人」に任せる、昔ながらのやり方って、理にかなっているんだなあ。
と、自分のスケジュールは自分で管理するほかない個人事業主としては、ため息をつくのであった。